◾️文字
シャカルは独自のアブギダ式の文字「イーシャ」を用いて表記される(他書体は鋭意製作中)。しかし、現状はフォントが存在しないため、コンピューター上では主に特殊文字を含むラテン文字(稀にキリル文字)で転写されるのが常である。以下に文字、記号類、数字を紹介する。
イーシャは22のヴーツェイーシャ(基字)、8のケトライーシャ(声字)、8のケトラターク(声記号)、5のカルガターク(変声記号)、そして各種約物で構成される。
基字は単独では必ず随伴母音aを伴って読まれる。また、母音はシャカルではケトラ(声)と呼ばれ、各母音は「母音+ケトラ(a=アケトラ、i=イケトラ、u=ウケトラ等)」で呼び表される。
変声記号にはナケトラツィク(無母音点)、レーケターク(長記号)、ピワツィク(太陽点)、ソキャイターク(弱イ記号)、チョヴーツェターク(促音記号)があり、ナケタツィクは付加される基字の随伴母音を取り除き末子音とし、レークタークは母音を長母音化し、ピワツィクは撥音を付加し、ソキャイタークは付加される字を拗音化し、チョヴーツェタークは直後の字を促音化(二重子音化)する。
約物には主にケルンツィク(文節点または語間記号)、タゴターク(コンマ)、チョタゴ(またはチョタゴターク、ピリオド)、エスタターク(文頭記号)があり、ケルンツィクは欧文のスペースのように文節の区切りごとに置かれ、タゴターク・チョタゴはそのままコンマ・ピリオドの役割を持つ。ただし、人名や名称、単語などを単独で表記する際にはタゴタークが置かれる。エスタタークは文章の表題や詩、祝詞の文頭に置かれるが、インフォーマルでは必須ではない。
◾️発音
以下にラテン文字転写とその音価を示す。なお以下に示すのはあくまでも規範的な発音であり、実際には発話速度や話者によっても若干の違いがある。
⚫︎子音
p:/p/日本語のパ行に同じ
b: /b/日本語のバ行に同じ
m: /m/日本語のマ行に同じ
w: /w/日本語のワ行よりも唇をしっかりすぼめる
f: /f/英語のFに同じ
v: /v/英語のVに同じ
s: /s/日本語のサ行に同じ
š: /ɕ/日本語のシャ行に同じ
c: /t͡s/日本語のツの発音に同じ
z: /d͡z/日本語のヅに同じだが/z/も許容
č: /t͡ɕ/日本語のチャ行の発音に同じ
j: /d͡ʒ/日本語の語頭のジャ行に同じだが/ʒ/も許容
t: /t/日本語のタ行の発音に同じ
d: /d/日本語のダ行の発音に同じ
n: /n/日本語のナ行の発音に同じ
l: /l/英語のLに同じ
r: /r/ロシア語やイタリア語のような巻き舌(震え舌)
y: /j/日本語のヤ行に同じ
k: /k/日本語のカ行に同じ
g: /g/日本語のガ行に同じ
ṅ: /ŋ/鼻濁音のガ、ハガネのガ
h: /h/母音を伴う時、日本語のハヘホに同じ。末子音では/x/空気の摩擦を伴うハ行、中国語のㄏ(h)
⚫︎母音
a: /ä/日本語のアに同じ
i: /ɪ/~/i/日本語のイよりも唇を横に引く
u: /ʊ/~/u/日本語のウよりもしっかり唇を丸め舌を奥に引く
e: /ə͍/から/ə/いわゆる曖昧母音(シュワー)だが規範的には唇を横に引く
o: /o̞/~/o/日本語のオよりもしっかり唇を丸める
ä: /ɛ/~/æ/前舌のa、アとエの中間音
ü: /ʏ/~/y/前舌のu、ウとイの中間音
ö: /ø̞/~/ø/前舌のo、オとエの中間音
また、厳密には母音は長短によって僅かに音が異なる
a i u e o ä ü ö
/ä ɪ ʊ ə͍ o̞ ɛ ʏ ø̞/
aa ii uu ee oo ää üü öö
/äː iː uː ə͍ː oː æː yː øː/